ISO14001:2004について間違いだらけのA審査機関
(H17年8月1週号)

A審査機関主催のISO14001:2004改訂対応の説明会があった。この審査機関は付加価値審査を強調していた。当然、次のように規格を無視した無意味な過剰要求の説明となった。

T.審査機関の説明
1.4.2 環境方針のf)

「組織のために働く人」とあるので、一寸した出入り業者レベルまでを対象に、環境方針を受領してもらうぐらいのことが必要。

2.4.4.2法的及びその他要求事項の特定
(1)消防法道路交通法を必ずいれること。道路交通法は製品を運搬中に交通事故で製品を散乱することがあるから適用される。

(2)製品の品質要求事項を環境マネジメントで取り扱うこと。

3.4.3.3 環境目的、目標及び実施計画
目的・目標の設定において、紙・ごみ・電気の節減は認めない。

U.私のコメント
1.「組織のために働く人」の解釈

これは、すでにふれた(このホームページの「新着ニュースISO14001:2004審査で審査員交替:H17年7月1週号」参照)。
on behalf of the organization」の英語訳である「組織のために」の日本語が一人歩きして、「for the organization」の意味になっている。
on behalf of」は「代表して」、「その企業の名称で」というような意味もあるように、純粋の「ために」の意味と異なる。受付の女性が派遣社員でも、制服は派遣先の会社のものであり、派遣先を代表して受付しているのである。
for the organization」の理屈でいくと、税金で動いている官庁も含まれるし、グローバルの時代であるから、行き着くところ、全世界に自社の環境方針の周知が必要となろう。ナンセンスである。一審査員なら交替で終わるが、審査機関の説明とは驚く。
これは英語の訳の問題でなく、ビジネスマンの基礎的なセンスの問題である。

(2)消防法と道路交通法
消防法は以前から指摘が多いが、道路交通法まで登場した。この法令のどの条項に、環境影響の規制要求があるのか不明。それを明示すべきである。

(3)製品品質要求事項
ISO14001:2004の序文では「品質、労働安全衛生、財務、リスクなどのマネジメントのような他のマネジメントシステムに固有な要求事項は含まれていない」とある。
ISO9001:2000とISO14001:2004をもっている会社は、「品質に関する項目はISO9001:2000に準拠する」と明記してだぶらないようにするだけである。

(4)紙・ごみ・電気の節減と環境目的、目標
中小企業では、公害産業でない限り、大きな環境目的、目標を設定できないために、紙・ごみ・電気の節減が目標となりやすい。付加価値審査ではりきっている審査機関はそれを嫌っているのであろう。
ISO14001:2004の序文で「この規格は環境パフォーマンスに関する絶対的要求事項を規定するものでない」とあるように、この規格の関心事は小さな目標であってもマネジメントシステムが動いていることである。

しかし、実際は、環境目的、目標が紙・ごみ・電気の節減とした場合でも、マネジメントシステムをきちんと継続的に運用することは中小企業でも大変なことであり、トップから社員までの高い環境意識が要求される。

目標を過剰にして、意味のない文書を増加させ、カッコウだけつけることは、環境問題を形式化、官僚化、マニュアル化するだけである。


それにしても、現場の「当たり前の常識」が通じない時代になった。