8.5.2 f)に対するJIS参考トラブル後日談
(H17年8月3週号)

1.その後の展開
この問題についてのI審査機関の情報交換会での審査機関と、企業のY氏のやりとりは、先週の新着ニュースで述べた通りである(このホームページの「新着ニュース8月2週号」参照)。
すなわち、I審査機関が情報交換会でJISの参考に基づいて8.5.2f)の「是正処置において実施した活動のレビュー」の審査をすると説明し、これに対し審査を受ける企業側のY氏は参考が何時要求になったのかと質問し、審査機関がJABの指導だと回答した問題である。

その後、Y氏は概要、次のような質問を文書でJABにした。その回答と私のコメントを下表にまとめた。

番号
Y氏の質問
JAB回答概要
私のコメント
1 JISの参考はI審査機関の説明通り、要求事項ですか。 場合によっては、レビューする活動対象の範囲が、 a) 〜 e) であることもあるでしょうが、参考は要求事項ではありません。 「とった処置」の有効性の検証結果は2つしかない。有効か有効でないかである。有効な場合は、今更、過去にもどってa) 〜 e) まで再確認の必要はない。有効でないときは再発だから、新しい再発状態でのa) 〜 e)を進めることになるので、過去のa) 〜 e)は関係がない。参考としても問題がある。
2 日本国内でこれに関する解釈が統一されているのであればその情報源はどこにありますか。 国内TC176委員会事務局の規格協会が最初の窓口となっています。 これは解釈の問題よりも、日本文の参考の表現が規格のような一義的になっているのが原因。英文の参考は、ある特定の場合に限定されるとか、can、mayとかの助詞が表現上つく。このJIS独自の参考を英語に逆に訳すと規格本文のようになってしまう。ISO9001:2000は、国際規格だから、ISO本部の説明と違う国内での独自説明は権威がない。さらに委員の個人的な出版物による説明はさらに権威がない。
3 この項に対する解釈をJABがI審査機関に指導した文書を入手することは可能ですか。 この項に対する解釈を指導した記録はありません。 JABの指導があったというI審査機関の説明は、JABの直接の回答によりはったりであったことが分かる。I審査機関は、上記の会合に出席しなかった登録会社に、ある委員の個人的な出版物を配付した。その本の著者が委員であることを書いてある箇所を、I審査機関は丸で囲んで配付した。ISO本部発行の「中小企業のためのISO9000」を「それは外国の規格でしょう。」と言った低レベルの審査員がいたのも理解できる。

2.「とった是正処置」のレビューの事例
「とった処置」の有効性の検証結果は2つしかない。有効か有効でないかである。有効な場合は、成功したのだから、今更、過去にもどってa) 〜 e) まで再確認の必要はない。
有効でないときは、再発なので、それにそって下の表のように、右側の手順を進めるだけである(左側の想定事例は、このホームページの「新着ニュース8月2週号」の事例を用いている)。
再発時は、作業も最初と変わって改善した方法になっているので、左側の過去のa) 〜 e)の見直しは意味がない。
この例で分かるように、どの場合でも過去にもどり、a) 〜 e) をレビューすることは永久にない。

区分
初発で「とった是正処置」のレビュー結果
「有効」であった場合
是正処置をとったが再発した場合
(「有効」でない場合)
8.5.2 a)
8月1日、工場で、未加工品が加工品に少数混入していることが発見、確認(初発) 1週間たった8月10日、製造班長は、加工済み品の箱を抜き取りチェックした。未加工品を発見し、確認した(再発)。すなわち、この改善方法は適切でなく、「有効性」が十分ないと判断。
b)
8月1日、原因は「未加工品と加工品の置き方が不安定」と判明。 8月11日、「未加工品をそのまま、左手から右手にもちかえることがある」ことが原因と判明。このように、すでに初発対策で改善した作業方法になっているので、初発の場合と原因は異なる。
c)
8月1日、重要顧客クレームとなるので、対策検討決定。 8月11日、重要顧客クレームとなるので対策検討決定。
d)
8月3日、必要な処置(改善方法)は「左側に未加工品を置き、そこから1個づつ左手でとり、1個加工完了したら、すぐに右手で加工品は右側の箱に入れる」と決定。 8月13日、「中央に遮蔽板を置き、左手が右手側に移動しないようにブロックすること」を決定。
e)
8月3日からの実施開始を現場で確認し、記録。 8月13日からの実施開始を確認し、記録。
f)
1週間たった8月10日、製造班長は、加工済み品の箱を抜取りチェックし、問題ないことを確認。改善方法は有効性ありと判断。 1週間たった8月20日、製造班長は、加工済み品の箱を抜取りチェックし、問題ないことを確認。改善方法は有効性ありと判断。

コメ
ント

有効性があるので、今更、上記のa) 〜 e)を見直すのは自画自賛以外意味がない。 上記のように初発のa) 〜 e)は条件が異なるので再発のときの参考にならない。