真夏の昼の怪談?ある審査風景
(H17年9月2週号)

K社でI審査機関によるISO9001:2000のサーベイランス審査が行われた。その審査の会話の一部を下記に示すが、怪談?なみの内容であり、怪談同様、健全なISO9001:2000のために、ゾッと背筋が寒くなる話である。マイナスだらけの付加価値審査の典型例でもあり、不毛な議論のため、企業の時間を無駄にしている。カッコ内は私のコメント。

対話

審査員: 7.5.2のプロセスの妥当性の確認を文書化してもらえませんか?
K 社: どういうことですか?
審査員: 7.5.2のプロセスの妥当性確認に該当するものを鉄の圧接としていますが、プロセスの妥当性確認とは、特殊工程ばかりではないんですよ。プロセスの妥当性確認とは、製品実現プロセスの妥当性確認をすると言うことなんです。

(プロの力量があるべき審査員として「製品実現プロセス」には狭義と広義の2つの異なった意味があることを知らないとは恐ろしい。妖怪出現の予兆。このホームページの「2000年版項目別分類」コーナーの7.1項目の「製品実現化プロセスと製造及びサービス提供プロセスの混同:H13年3月2週号」参照。)

 

K 社: えっ!????7項全体を確認するのですか?
審査員: 7.1項から8.5.3項までの全項目のことです。

(ついに、妖怪出現!)

 

K 社: え!????8.5.3までですか、それおかしいのと違いますか?
審査員: 何でですか?
K 社: イヤー、変ですよ。7項全体ということは製品実現のプロセス全体の妥当性確認ということになりますよ。それに加えて8.5.3までもですか。
審査員: おたくでは、特殊工程だけを品質マニュアルで取り上げているでしょ。そうじゃないんです。プロセスの妥当性確認とは、品質計画書を作ってから、それをもとに作業をかかる前に間違いないかよく見てくださいということを言っているんです。
この前、例をあげたのは、ある病院で手術をしました。で手術をしたときにたとえばカルテに基づいてガイドがある。これで手術をしたら間違いなく手術できるということを言ってくださいということです。だから、今この部分がQMに入っていないんだということを言っているんです。
去年は、JISQ9000の用語定義3.4.1プロセスの参考3に「“特殊工程”と呼ばれることが多い。」とあると貴社から反論されたので、強く不適合として言えなかったんです。

手術の例はJABワークショップにあるが、手術は、多くの細かいプロセスがあり、各プロセスの結果が検証可能。一品料理的なので本番前に妥当性確認不可能。実験が本番である。マニュアルで手術はしない。いかなる名医でも死亡につながる手術ミスはありえる。妥当性確認と手術ミスは無関係。このように7.5.2の例としては不適切である。このホームページの「2000年版項目別分類」の7.5製造及びサービス提供の「事後の品質確認(検査)は遅い?:H15年12月1週号」参照。「特殊工程だけでない」として、また、別な特殊例をあげるのは、基本的な矛盾。2年前にこのニュースで予想したことが審査の場で発生。)

 

K 社: えー???
審査員: 7.1項から8.5.3項までの全項目の妥当性確認をすることだということは、JABのワークショップでも言っていることなんですよ。

JABワークショップの7.5.2の解説では7.1項から8.5.3項までの「プロセスの妥当性確認」を含むという解説はない。

 

K 社: ワークショップでそこまで書いてありますか? 書いてなかったと思うけど。
審査員; 去年も触れたと思うけど。
K 社: 去年は、7.1項から8.5.3項までということは言われませんでした。
審査員: そうです。これは、今年初めて言ったことです。あのとき、質問がなかったからです。でも7.5.2は特殊工程だけじゃないよとは言ったはずです。それは、7項から8.5.3項までの妥当性確認をするように検討してくださいと意味なんで、それで去年はお願いしてあるはずです。説明不足で認識していただけなかったようですが、今年は理解していただけたと思います。

(「7.5.2は特殊工程だけでない」というあいまいな説明から、審査員は苦労して「7項から8.5.3項までの妥当性確認が必要である」という明確な説明に到着した。しかし、不幸なことに到着点は意に反してより深い泥沼の真ん中であった。)

 

K 社: 2年ほど前の貴審査機関との2000年版の改訂情報交換会でもそこまでは、言ってなかったですよ。
審査員: いいえ、このようにやってきています。
K 社: でもそのときの情報交換会ではそこまで言い切っていませんよ。鉄板圧接だけが特殊工程じゃありませんよといったことは説明していましたけど、7項全体が該当するなんていっていませんでしたよ。
審査員: そこまで言ってない。それは今、質問があったので言っただけです。「どこからするの」といったから、「ここからここまでするんですよ」と答えたのです。
K 社: でもそれは・・・・・
審査員: じゃあ、こうしましょう。今日この話題をしたということで、あえて文書にも何もしませんけども、一応、この観点でマニュアルに反映していただけませんか。後日、こういうことですよということを文書で差し上げますから検討していただけませんか。

(どういう「公的」文書が来るのか。あるいは、来ないかもしれない。)

 

K 社: 当社は変える必要を認めませんが、まあ、見せてもらうだけならいいです。こんな不毛な議論していると本来の審査が進みませんから。

以上。