新製品と繰返し生産の2つの異なった製品実現の流れ
(H17年11月3週号)

M 氏: 当社は、量産品を製造する会社です。ISO9001:2000の「7 製品実現」の項をマニュアルに分かりやすく表現するとなると、新製品および量産品について異なった流れとして表現することになります。
  (1)新製品開発の場合
 
7.1新製品開発計画
7.2新製品開発計画
  順序は7.2で顧客要求を確定し新製品の仕様を決めて、7.1で開発計画を立てる。
7.3 新製品の設計/開発
  開発計画にしたがって、新製品開発を行う。
7.5.1、7.5.2で工程設計をする。
  (2)量産品の場合
  7.2で受注
7.4で購買
7.5で製造
 

ISO9001:2000規格の意図として、新製品開発、量産品の生産の両方をカバーしていると理解していますが、そうなると品質マニュアル上、製品実現のプロセスは新製品と量産品で書き分けないといけない気がします。

 

私のコメント: 自動車、電気などの量産品タイプはその通りです。おっしゃる通り、異なった2つの流れがあり、業務的には繰返しの流れのほうが多いのが特徴です。建設や造船などの個別生産型と基本的に違います。
ある個別生産型の大手企業出身の審査員は、量産型の会社に来て、いきなり「顧客の任意の注文から、その設計、購買、製造の一体の流れを記録で追いたい」と言って、会社側が何を言っているのか分からなかった例がありました。この審査員は2つの流れを理解できなかったのですね。一方、会社側は、個別生産型の流れはピンときません。
なお、7.5.1で工程設計は行いません。次に説明します。
  (1)新製品の場合
  業務の自然な順序からすると、顧客の要求事項の明確化が先に来るので、7.2.1が最初。次に、7.1で、その新製品の設計、購買、製造の広義の製品実現計画(「新製品開発計画書」のようなもの)を計画します。それに従い、7.3の製品設計が行われます。そして、また、7.1にもどって狭義の製品実現計画である工程設計にもどります(このホームページの基礎知識コーナーの「品質マニュアル構成の見直し:新着ニュース9月4週号」参照)。工程設計が7.1に該当する根拠は、7.1の参考2を見れば分かります。この参考2にあるように、これを7.3とセットにすることも出来ます。この場合、工程設計の7.3.6に該当するのが、7.5.2です。
これで設計全部が終わり、生産設備の導入も終わり、新製品の初ロットの受注、購買、製造となります。
 

(2)量産あるいは繰返し品の場合

  7.2.2が先にあり、7.1、7.2.1、7.3はすでに終わっているので不要です。7.4と7.5は必要となります。したがって、私は、すべての量産型の会社のマニュアルは4.2.2c)の要求に対応して、下の例のような表を掲げます。A表はISO9001:2000番号順、B表は通常の業務順(プロセス順)です。内容は同じです。
重要なことは自分の会社の日常業務をしっかり把握し、現実にあったシステムの構成理念を持つことです。

A表
区分
順序
新規受注品
繰返し受注品
プロセス  
7.1 7.1 製品実現全体の計画
2
新製品開発企画書
7.1 a)からd)の計画
6.3 インフラ計画と提供
7.5.2 工程設計の妥当性確認
4
工程設計(工程表)
7.2.1 製品に関連する要求事項の明確化
1
新製品開発企画書による
製品要求事項の明確化
7.2.2 製品に関連する要求事項のレビュー
5
初ロットの顧客注文書確認
顧客繰返し注文書確認
7.2.3 顧客とのコミュニケーション
1〜5
共通
7.3 設計
3
新製品開発企画書による
製品設計(図面、仕様書)
7.4 購買
6
共通
7.5 製造
7
共通

 

B表
区分
順序
新規受注品
繰返し受注品
プロセス  
7.2.1 製品に関連する要求事項の明確化
1
新製品開発企画書による
製品要求事項の明確化
7.1 製品実現の計画A(新製品開発企画)
2
新製品開発企画書完成
7.2.3 顧客とのコミュニケーション
1〜5
共通
7.3 設計
3
新製品開発企画書による
製品設計(図面、仕様書)
7.1 a)からd)・製品実現の計画B(工程設計)
6.3 インフラ計画と提供
7.5.2 工程設計の妥当性確認
4
製品設計に基づく工程設計
(工程表)
7.2.2 製品に関連する要求事項のレビュー
5
初ロットの顧客注文書確認
顧客繰返し注文書確認
7.4 購買
6
共通
7.5 製造
7
共通