対話:日本ERIの是正処置マネジメントの問題点
(H17年12月2週号)

Mr.A:
今、マスコミをにぎわせている耐震強度偽装問題で、検査機関を責めるのは見当違いだね。検査では品質保証は出来ず、検査への過剰な期待は逆に品質を悪化させるのは、品質管理の歴史的な常識だよ(このホームページの2000年版項目別分類コーナーの7.5の「事後の品質確認(検査)は遅い?:H15年12月1週号」、基礎知識コーナーの「ISO9000の検査主義の変遷:H15年9月4週号」参考)。

Mr.B:
建築法違反も50万円と軽いね。自動車部品のかんばん方式は無検査だが、一度、ラインを止めると小企業でも千万円単位の賠償請求がくる。作ったものの責任が明確で厳しいから、品質も良いし、モラルも高い。建設法違反者には、懲役を科するくらいの罰則が必要だよ。

Mr.A:
建設業は、ISO9001:2000の認証数は業種では最大だということだが、今回の問題で、ISO9001:2000的に参考になる点はあるかね。

Mr.B:
今回の問題を最初、オープンにしたのは、12月7日に国会の参考に呼ばれたアトラス設計の渡辺社長だ。同氏は2回警告しているね。最初の警告は一年半前の昨年4月の民間検査機関の日本ERIに対してで、2回目は今年10月、同じく民間検査機関のイーホームズに対してだ。このときの両検査機関の対応の違いにマネジメント的に興味があるね。

Mr.A:
昨年春、一度、日本ERIが合格したものを渡辺社長が、不適合を見つけ、その物件については、修正して、再認定している。検査機関にとっては、合格書は「製品」だから、設計ミスのある設計への合格認定書は、検査機関としては「不適合製品」だね。だから、この日本ERI の処理は、ISO9001:2000の8.3の不適合品の管理のa)の「発見された不適合を除去するための処置をとる」に該当する処理をしなくてはならないね。

Mr.B:
設計ミスなら、設計者がからむから、過去にパスした姉葉氏の設計した物件は再検査したの?今年10月のイーホームズがやったように。

Mr.A:
国会での日本ERIの社長の答弁だと、偽装と思わず、設計ミスだと思っていたからアクションをとらなかったとうことだ。

Mr.B:
おかしな理屈だね。不適合という事実は、偽造とは無関係なのにね。設計ミスなら氷山の一角なことは容易に想像されるよ。

Mr.A:
製造業では、1つの不適合製品の発見から、前に出荷したものはどうかと、在庫はどうか、と拡大して検査モレ(流失不適合)を調査するのが常識なのにね。それは、日本ERIでは常識ではないの?

Mr.B:
それから、その再発防止策、すなわち、ISO9001:2000でいう8.5.2の是正処置はどうなっていたの?

Mr.A:
それがないんだね。理由は、また、同じように、まさか、設計者が偽装をすると思わず、設計ミスと思っていたので、そのまま放置したとのことのようだ。

Mr.B:

また、変な論理だね。今後、同じような設計ミスを見逃さないような是正処置をとるべきだよ。日本ERIの鈴木社長は、マネジメントを知らないのでは?質問している国会議員もその変な論理に気がつかない。だから、マネジメントの追及が甘い。


Mr.A:
ISO9001:2000の8.5.2で「是正処置は、発見された不適合のもつ影響に見合うものであること」とあり、小さなことは、是正処置をしなくてよいとある。しかし、耐震強度に関する設計ミスだから、多くの人が死ぬか分からないような重大なミスだよ。偽装かどうかまで、疑わなかったというのは無関係。是正処置をとるのは当然。隠蔽したと言われてもしかたがないね。

Mr.B: その点に関しては、イーホームズのほうがオーソドックスに対応していた。社長は、内部監査で重点チェックし、さかのぼってチェックし、早急に国交省にも連絡し、はじめて実態がオープンになった。

Mr.A: 1年半前のアトラス設計の渡辺社長の警告が、日本ERIでなく、イーホームズに対してであったなら、不適合製品の管理も是正処置も的確だったろうね。そして、もっと、早く手が打たれ、1年半の間にいくつかのマンションの被害は避けられていたかもしれない。マスコミがイーホームズをたたくのは筋違いのようだね。

Mr.B: 日本ERIとイーホームズのマネジメント力の違いだね。日本ERIのほうは、社長はマネジメントより政界に関心があるようだね。

Mr.A: アトラス設計の渡辺社長が警告した日本ERI担当者の名前を国会議員が聞いたら、日本ERIの社長が「本人は責任を感じていて、神経的にもおかしくなっているので、氏名を明らかにするのは勘弁してもらいたい。」旨の答弁だった。

Mr.B: また、担当の問題にしているね。マネジメントシステムの問題なのに。本来、神経的におかしくなるのは、『鵜』でなく、『鵜匠』ではないのかね(このホームページの基礎知識コーナーの「品質マネジメントプロセスと製品実現プロセスの関係質疑・その1/2 A氏とのやりとり:H17年8月5週号」参照)。
担当者の能力欠如でなく、マネジメント能力の欠如だよ。国会議員もその追求がない。

Mr.A: 木村建設のISO9001:2000はどう思う?

Mr.B: これはひどいね。国会での社長と東京支店長の言動を見るとマネジメント不在だね。破産して、会社を継続維持できるISO9001:2000でないことを立証したね。