QMとQCとの違い
 従来、品質管理はQuality Controlですが、ISO9000シリーズでは、Quality Management と異なり、ISO8402:1994では、この2つの用語定義があり、当然、別な定義になっています。しかし、日本では、QCのほうは、「品質管理(狭義)」「品質管理手法」となっています。
 これは、従来の日本の品質管理がISO9000シリーズのいう品質管理(QM)でなく、QCであることを意味していると思います。
 しかし、当社では、従来の品質管理担当者が、ISO9000は品質管理の規格であるといって、ISO9000システムを構築するときの推進担当者となっていますが、ISO9000要求の意味がよく理解できなかったり、当社のシステムに適用するときに、実際的でないシステムを強要することになっています。
1・2つの品質管理
 この問題は用語としては、ISO8402:1986にもある。ここでは、QMは「品質管理」、QCは「品質管理(狭義)」となっており、日本では明確な区別がつかない。その後、1994のときに、QCに「品質管理技法」という訳が追加になった。
 しかし、このQCとQMとの違いは日本の品質管理の特徴を象徴的に示している。日本の品質管理は、管理システムよりは、関心はQCによる活動にあったようだ。
 ISO9000シリーズの主任審査員の教育資格を得ているある講師が、そのテキストで「ISO9000シリーズの規格は、“品質”を抜いてもよいほど、受注、設計、製造などの企業全体の管理システムをカバーしている。」と書いている。
 そして、管理システムとは、社長、部長、課長、係長、担当は何をするか、が中心になるが、QCではそれが中心にならず、「皆で品質を向上する。」という日本式の「お御輿」的QMであった。
2・混同の問題点
 この混同は、次のようなISO9000システムに構築に障害となりやすい。
(1) ISO9000システム推進担当者の選抜の問題
 ISO9000システムは、営業、設計を含む生産システム全般にわたるので、推進担当者は、全システムを知っている人が望ましい。しかし、ISO9000規格が、品質管理規格ということだけで、QMとQCとの違いを知らないで、従来のQC担当を配置したときに、規格要求を正確に理解できず、効果的で定着しやすい実際的なシステム設計や構築ができないことがある。
 これは、審査員やコンサルタントも同様で、QC出身の審査員やコンサルタントも、QMになじまないことがある。
(2) 2重システムの発生
 生産を管理するシステムは、生産管理部門やコンピュータ・システム部門が専門でやってきているので、その活用が効果的であり、これらの部門がQMと密接な関係にあることが多い。
 事実、コンピュータのシステム設計者を、ISO9000システム推進の中心にして、成功した例もある。
 その配慮がないと、本来の効果的なQMと、QC的なQMとの2重システムとなる。これはコストアップとなるだけでなく、効果を発揮できない原因となる。
 その意味で、ISO9000システム設計のときは、QMとQCの違いを十分に理解することが、その後の明暗を分けることになろう。