?文書と記録の違い
 文書は、ISO9001の4.5にその管理の要求が定められており、4.16には、記録について定められています。
 ISO9004(1987年版)では、17「品質文書と記録」があったが、これが、今度の改訂されたISO9004−1では、「品質記録」と変更になり、「文書」が消滅しています。また、細部をみると17.2では、旧版では、「品質文書」であったものが、これも文書が消え、「品質記録の管理」に変更になっています。
 ところが、旧版の文書(document)の例と、記録(record)の例は同じです。
 たとえば、記録の例は、検査報告書、検査データ、試験データ、校正データなどあり、理解できます。また、文書の例として、旧版は、図面、仕様書、検査指示書などをあげているのも理解できます。もっとも、文書の例のうち、「操作記録紙」は、文書の例で記録という言葉は出ないはずなので、これもおかしいと思います。
1・操作記録用紙のこと
 ISO9004(1987)の17.2「品質文書」では、管理すべき文書例として、図面、仕様書などがあげられている中で、「操作記録用紙」というものが含まれている。17.3「品質記録」には、検査報告書とか記録文書名が並んでいるので、確かに、おかしい。英語をみると「operation sheets」である。これは、生産管理用語で「工程表」である。記録ではない。ISO9004―1で、また、そのままなのでさらに誤解を招いたと考える。
2・品質文書タイトルの件
 確かに、ISO9004とISO9004ー1とを比較すると、文書と記録の扱いが、変更されている。旧版は、文書と記録が明快に区分されていたが、今回の改訂であるISO9004ー1では、質問のように改訂され、品質記録一本になり、品質文書のタイトルが消滅している。
 このため、改訂版のほうが、誤解を招きやすい変更になっている。
3・文書と記録の違い
 ある外国の審査員が「設計文書は、設計活動の記録文書である」と言ったので、おかしいと思い、「記録文書は変更できない。変更したら改ざんとなる。しかし、設計文書で、製造指示をする場合、変更はある。これが本質的に異なる。」と言って納得してもらったことがある。
 その意味で、文書と記録は、明確に区分できる。ISO/TC 「中小企業のためのISO9000」の4.5「文書及びデータの管理」の解説では、次のような説明がある。
「文書と記録の間には相違がある。本質的には文書は、どのように物ごとを行うかを示し、管理するために使用され、状況の変化を反映して、改訂することができる。
 記録は何かの活動の結果として、生まれるものであり、その時点で、存在していた事実を述べたものであり、改訂できない。改訂されて回収された文書は、記録になり得る。」
 すなわち、ISO9000シリーズでいう文書は「指示機能を持った文書」である。
 同じ文書でも指示機能を失った文書は、文書でなく、廃棄されるか、記録になるのである。
 たとえば、図面は、製造指示に用いられているときは、文書であるが、改訂があり、新しい図面になり、回収された古い図面は、設計記録となる。そして、設計者の参考資料になったり、問題があり、過去の設計資料を見たいときに記録として利用される。