?検査と検証の違い
 ISO9000シリーズでは、検査と検証が良く出てきます。例えば、検査・試験の「4.10.1 一般」では「供給者は、製品に対する規定要求事項が満たされていることを検証するために、検査・試験業務の手順を文書に定め」とあります。この場合、検証を検査と置き換えてもいいのではないのでしょうか。
 あるいは、「4.10.2.1 」で「供給者は、搬入製品が規定要求事項に適合していることを検査するまで、又は他の方法で検証するまでは、使用又は加工を行わないことを確実にすること。」とあります。この場合は、検査と検証を明らかに使い分けています。
 設計では設計検証がありますが、これは、検査と対応していないので、理解できるのですが、検査と直接関係のある検証は、検査とどういう関係にあるのでしょうか。
1・JISの定義
 JISでは、次のように検査を定義している。「品物をなんらかの方法で試験した結果を、品質判定基準と比較して、個々の品物の良品・不良品の判定を下し、又はロット判定基準と比較して、ロットの合格・不合格の判定を下すこと。」
 検証の定義はない。
2・ISO8402:1994の定義
 検査と検証の2つの定義がある。検査については「2.15」に次のように定義がある。「ある“もの”の各特性の適合性を確定するために、1つ又はそれ以上の特性を測定、審査、試験又はゲージ合わせをして、その結果を規定要求事項と比較する活動。」
 検証については「2.17」に次の定義がある。「規定要求事項が満たされていることを、客観的証拠の調査及び提出によって確認すること。」
3・検査の基本プロセス
 検査作業の基本プロセスは大きく次のA〜Dの4工程に分けて検討しよう。
 
検査対象物提示
測定
合否判定基準との比較
合否判定
 
 JISの定義では、Dの判定までが検査であるが、ISO8402の検査の定義では、B、Cまでは明確に検査であるが、Dは、検査にしていない。Dは「検証」であると考えられる。したがって、ISO9000には「検証のために検査を行う」という文が多い。
 ISO9000ー2のガイドラインで購入検査の説明に「搬入品の検証の1つの方法として、購入検査がある」という表現がある。これは、その他に、業者が添付した検査成績表などの書類チェックだけの検証があるので、検査による検証と区別している。この場合、検証は明らかにDだけの行為である。「信用ある検証ができるなら、検査は省略してもよい。」ということになる。
 英語の文化的背景を持った分離であろう。なお、目視検査は、検査と同時に検証をしているためか、英語的には検証を含めた検査としている。
ISO/TC176発行の「中小企業のためのISO9000」では、中小企業では、検査と検証の分業が実際的でないせいか、検査を検証まで含めている説明が多い。英語でもときには厳密さがないようである。