?作業の適合性とは
 ISO9001:1994の「4.9 工程管理 c)」では「品質計画書又は引用された手順書への適合」とあります。
 当社では、これは現場作業が作業標準などの文書と異なっていないこと、すなわち、作業標準の遵守を要求している条項と解釈していました。ところが、予備審査で審査員が「これは作業手順書に品質計画の内容が記載されているか」という意味だというのです。しかし、これでは同じ「4.9 工程管理 a」にも文書化要求があり、ダブルと思います。
1・87年版の問題点
 87年版ではこの部分は現在のようにa),b),c)ように分解されておらず、1つの文であり、この質問部分の英文は次のようであった。
 compliance with reference standards/codes and quality plans.
 そして、この日本語訳は次のようであった。
「引用された規格・基準書の遵守、及び品質計画書」。
 ここで、品質計画書が最後にポツンとあるのは奇異に感ずるであろう。「4.9 工程管理」は稼働状態の管理の要求であり、ここに「品質計画書」が急に登場するのはおかしい。
 実はこれは誤訳で、英語ではquality plans はstandards/codes とともにcompliance with にかかるもので、正しくは「引用された規格・基準書及び品質計画書の遵守」となる。
 当時、解説書が沢山あったが、これを指摘したものが皆無であった。
 当時、英語圏の主任審査員のインストラクターに質問して誤訳を確認したが、彼は同時に、「英語もよくないな。」と言っていた。2・94年の改訂
 この悪文と言われた英語は94年の改訂でa)b)c)の3つの文章に分解され分かりやすくなり、誤訳だった部分は、c)として独立した。これで訳も「品質計画書」単独が「引用された規格・基準書」とともにcomplianceにかかるように訳された。
 しかし、同時にcomplianceが「遵守」から「適合」と変更になった。すなわち、「引用された規格・規準、品質計画書及び/又は手順書への適合」となった。このため、何に適合するのかという解釈のバラツキが新に生じたようである。
3・適合の解釈
 「4.9」は「工程管理」の要求であり、それは加工現場の作業者や機械の動きが管理状態にあることの要求である。
 したがって、「−−への適合」が何に適合しているかは、自ずと明らかで加工現場の状態であり、これらが引用された規格・基準書及び品質計画書に適合していることの要求である。
 文書だけいくらしっかりしていても、それを守らせる現場管理が伴わなかったら、品質保証は期待できないことは当然である。
 トヨタは、ISO9000シリーズ以前から、「作業標準は現場監督者のためにある。何故なら、作業者は繰返し作業になれると作業標準を見る必要がないので見なくなる。また、ある速度で作業をするので分かり切っていることを一々見るのはムダである。したがって、守られていないこともある。したがって、作業標準は監督者が管理すべきである。」としている。
 また、ある企業では現場リ−ダ−が、毎日部下の仕事を5作業サンプリングして作業標準と比較チェックを行ない日報に報告している。
 ISO9001の「4.9 工程管理 c」」はまさにこの管理の要求である。それが読み取れないと間違った「適合」の解釈となろう。ある審査機関で配付している審査チェックリストにこの解釈を間違えたものがあった。