U.統合マネジメントシステム・マニュアルの作成方法(3)

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工程設計の重要性

(1)製品設計と工程設計
設計には、大きく2つの設計がある。これは、図14に示したように、まず、どのような材料から何を作るか(製品)という設計がある。次にそれを材料からどのようなプロセスで製品まで作りあげるかの工程設計がある。

設計は、これを文書にすることが多い。製品の場合は、図面や材料仕様書であり、工程の場合は、工程表やプロセスに使う道具の設計文書(機械・装置図面や仕様書、型・冶工具図面)などがある。

(2)2つの規格の工程設計についての扱いの違い
欧米の自動車メーカーが、その部品供給者に要求している品質マネジメントシステム規格がISO/ TS16949である。この規格とISO9001:2000とは、工程設計についての扱いが下記のように異なる。
@ISO9001:2000
「7.1 製品実現の計画」の参考2.で「組織は製品実現計画のプロセスの構築に当たって7.3に規定する要求事項を適用してよい。」と言っている。「製品実現計画のプロセスの構築」とは工程設計のことである。7.3とは設計・開発であるから、ISO9001:2000では、工程設計についてはshallとして7.3は適用されないが、企業が適用するのは自由であるとしている。
AISO/ TS16949
「1.2 適用」で「製造工程設計は、除外を許可される対象にならない」して、工程設計に7.3をshallとして適用することを要求している。
さらに「7.3 設計開発」の参考では、「7.3の要求事項は、製品及び製造工程の設計・開発を含み、エラーの検出よりもエラーの予防に焦点を合わせる。」と、ISO9001:2000のように除外できないことを明言している。
図13で明らかなように、製品設計をいくらしっかりやっても、その品質を決めるプロセスの設計(工程設計)が無管理では、品質向上は期待できないことは当然である。

(3)統合マネジメントシステムにおける工程設計の扱い
大企業では、製品設計は設計部門が行い、工程設計は生産技術部門が行っている例が多い。
そして、ISO9001:2000の認証は、品質保証部門が中心になって行うが、ISO14001:2004の認証には、生産技術部門が中心になることが多い。OHSAS18001:1999の認証の場合も、生産技術部門が対応することが多い。
その理由は、企業のプロセス活動で、廃棄物を発生させ、障害を起こすからである。このように、ISO14001:2004やOHSAS18001:1999のマネジメントシステムを効率的に行うには、プロセスを設計する工程設計が重要になる。それを担当する生産技術部門が中心になるのは、当然と言える。


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設計までの業務の流れ

ISO9001:2000では、製品実現の流れは、図14のように示される。


この流れを見ると、問題なのは、7.1が工程設計となると、7.3で「どういう製品を作るのか」が確定しないと計画できないことで、順序が逆になることである。
なお、7.6は、製品実現の流れとしては、違和感がある。これは、機械・設備同様に、良い監視機器及び測定機器の提供という意味からして、インフラストラクチャーの管理(6.3)に含まれるものである。したがって、図15のようにしたほうが理解しやすいであろう。

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顧客関連のプロセスの管理
文書化した手順がないので、次の例のように(1)から(4)まで簡潔に示す。
(1)製品に関する要求事項の明確化
受注形態
明確化担当者
明確化手順
見込み型
営業企画部担当
「製品企画書」により明確化。
受注型
営業受注部担当
「受注手配書」により明確化。必要があれば、顧客承認図により明確化。

(2)製品に関する要求事項のレビュー
レビュー担当者
レビュー手順
記録書類
営業受注部担当
顧客注文書に先行して提出した見積書などと照合し、確認し、問題なければ捺印。問題あれば、その処置を顧客注文書に記入し、処置後捺印。口頭受注の場合は、「受注手配書」を起票し、確認。 捺印した顧客注文書又は「受注手配書」。

(3)製品要求事項の変更
変更連絡担当
変更連絡方法
営業受注部担当
「受注手配書」により、生産管理部担当に連絡。

(4)顧客とのコミュニケーション
営業受注部担当、設計部担当及び品質管理部担当は、顧客の受注、引合い、注文、又はそれら変更、及び苦情の際、訪問、議事録、注文書受領、連絡書、電話、イーメールなどで顧客担当とコミュニケーションを持つ。また、顧客で発見した不適合品についてのフィードバックがあるときは、品質管理部担当は、窓口担当として顧客とのコミュニケーションを図る。

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設計・開発管理

手順書要求はないので、工程設計を含めた表6の事例のような簡潔な表で示す。
この例の場合、「設計基準書」には、品質、環境、労働安全衛生に関するチェック項目が含まれていることがポイントである。図16に設計の流れを示す。

表6
ISO番号
業務内容
手順概要
7.3.1
設計計画 設計課長が「設計計画書」により計画。
7.3.2
製品設計インプット 設計課担当が「設計計画書」に明記。
7.3.3
製品設計アウトプット(工程設計インプット) このマニュアルの「4.2.3 文書管理」参照。
工程設計アウトプット このマニュアルの「4.2.3 文書管理」参照。
7.3.4
設計審査(レビュー) 設計課長が「設計審査計画・記録書」により実施し、結果を記録。図16の4段階で実施。
7.3.5
設計検証 設計課長が「設計基準書」により、各設計アウトプットに検証印。
7.3.6
設計の妥当性確認 設計課担当者が「試作計画・記録書」により実施し、記録。
7.3.7
設計変更 設計担当者が該当する製品設計アウトプット及び工程設計アウトプットに変更を記入。